澤田みづえの音楽活動ブログ

指づかい、と聞くと・・・

指使い、と聞くとあなたはどんなイメージですか?
ピアノをやっている方にとってはほぼ100%の確立で
「守るのが面倒くさい」とか「また先生、同じ事言ってる・・・」とか
そんなマイナスなイメージがつきまとう指使い。

生徒がピアノの先生に言われて嫌がるワースト10の中に、おそらく指使いの問題があると思います。そんな逃げ腰な生徒をあえて捕まえて、ピアノの基礎は指使いから、と私は根気強く(しつこく?!)常日頃教えております。
ほとんどの生徒は最初に楽譜に書いてある事を見て忠実に守るのは面倒くさいと思っているようなのですが、実は指使いを間違って体に覚えこませてしまうと、なかなか後から修正するのは難しいので、かえって最初から楽譜に書いてある数字を見てその通りに弾く事の方が数段簡単なのです。


今でこそ生徒に注意する立場である私も、実は高校生くらいまでは指使いをあまり見ない人でした。
性格が大分アバウトである(笑)上に、ピアノに関してだけ言うと妙に器用だった為、それらが災いして手品師のような感じでかなり厳しい先生の目でさえも上手に(?)ごまかしつつ、例えでたらめな指使いでも平気で弾いていました・・・。私の場合はかなり難易度の高い曲に挑戦する頃まで、割と
先生にはバレずにいました。。

そんな私が今生徒に対して指使いの大切さを説くのは、間違った指使いで弾くと大抵の人はフレーズの間にへんなブレスが入ったように音が途切れてしまい、その曲を作曲した作曲家の意図に沿った音楽にはならないからなのです。生徒にはいつも「先生、どうしてこの速さで指使いが違う事が分かっちゃったの!!?」とか驚かれたりするのですが、そこんとこ、かなり集中して見ているので私を見くびらないように!!!(笑)

生徒のお母さんには「私が練習の時に見ても見破れないんです。動体視力が追いつかないほどの速さで弾いているので、どこがどう間違ってるのかもよくわからなくて・・・」などというご相談を受けるのですが、子供は譜読みの段階から両手で速く弾いてしまいたいという欲求を持っているパターンがほとんどです。

おうちでお子さんの練習を指使いや音の間違い等に注目して見られるのであれば、まずお子さんの弾きたい速さよりもテンポをぐっと下げさせて、自分の目の届く範囲の一定のテンポで弾かせる事が大切です。(途中どんどん気持ちがはやり加速をしていくケースが多いので、そのような場合はお母さんがテンポを手で叩くか、メトロノームをセットしてあげると良いと思います。)どれだけレッスンで指使いを直しても、ピアノを弾く時間のほとんどは家での練習なのですから、このような地道な努力が間違った指使いを撲滅する第一歩となるのです。

歌でも、息継ぎがやたらと入って細切れになったり、息遣いが本来聞こえなくて良いところでスースーとノイズが入るとかなり気になりますよね。
ピアノもまったく同じです。

声を使って音を出すか、ピアノを使って音を出すか、だけの違いで音楽は全て歌の要素から成り立っています

心の中で「自分が歌うなら、どこまで一息で行けるかな?」又は「人がこの曲を口ずさんでいたら、どんな感じで歌っている時に心地良く感じるだろう?」とあくまでも独りよがりではなく、色々な視点から音楽を客観視出来るようになると数段素敵になる事は絶対!だと思います。

又、こんな事を考えられる子は、もちろん指使いにも自然と目を向けるようになり・・・「なるほど。指使いを最初から守った方が色々と弾き易いわけね。これからそうしましょ。」と思えるわけです。

ただ単に楽譜に書いてある事だからと言う理由ではなく、弾き手によってその曲のもつ本来の美しい姿を取り戻してあげて欲しい。
私の「指使い、直して!」という定番のメッセージの裏には、常にそんな気持ちがあるのです。