毎回の事ながら、今回の発表会も悲喜こもごも。
思いがけずうまくいった!と喜ぶ人もいれば、終わって落ち込んだり、泣いている子も…。今回はみんなを自滅させてしまう過剰な”緊張”について、触れたいと思います。
本番で難しいのは、ガンガン前へ進むことではなく、一歩後ろへ下がりそんな自分を冷静に見つめ、普段と同じ自分を取り戻す作業です。緊張で自滅してしまう演奏の特徴として後ろから見ていると、ピアノにも挑むように覆い被さるように弾いている方が多いです。
理想はピアノと自分の間にひとつ壁がある感じ。つまり、ピアノにこちらのいう事を一方的に伝えてしまうのではなくて、ピアノと仲良くなるという感じです。また打鍵して自分の音が耳に戻ってきたらその音を判断し、次の打鍵に生かすのも大切です。
緊張した方の殆どが本番の方が通常よりもテンポが速くなりやすくその事で自滅してしまいやすい。
その原因のひとつは、じっくりと取り組むよりも、速く弾く方が人前では楽チンだからというところがあります。人前に出ている状態が長時間続く事に耐えられず、無意識のうちに素早く終えて去ってしまおうとしてしまうことで速くなってしまっているということですね。。
人前で演奏する際のセルフコントロールは本当に難しいと、私自身プロになってからも毎度舞台の度に感じます。
私も実際、舞台では緊張せず全然平気に見えるようなのですが(強いと思われがちです。笑)実はその前々の練習段階から緊張は持ちながら練習していて(なるべく気楽に練習はせず、日々の練習でイメトレをし、自分自身を緊張に追い込むよう意識しています)、舞台へ余計な緊張を持ち越さないよう計算して前倒しで精神的な立て直しを何度も行っています。
私の場合も昔はひどい緊張症でした。しかしその後舞台で自分の力を殆ど発揮できるようになってきているなと自覚しだしたのが、音高時代から。その頃を今振り返ると今と同じように、寝ている時も他の事をしている時もなぜか頭の中で舞台で弾く予定の曲が無意識ながらエンドレスで流れておりました。(おそらくこれが身体に音楽を染み付かせ、多少の緊張などで手が震えたりした際にも音楽が崩れないようにする大切な準備作業)そして迎える本番では、ようやくこれから解放される‼︎練習では相当苦しんだ、本番だけは楽しまなければ損‼︎という感じで良い具合に高揚した気分で舞台に上がり、演奏曲の魅力を伝える努力をしつつ、自分が一番率先して演奏を楽しむ努力をしていたように思います。
今回、緊張で自滅したな…と感じている生徒の皆さん。。
今回のやり方でだめなら、次回は違う作戦で!頭で理論的に考え、沢山場数を踏んで実践したら、それだけの答えがいずれ出てくることでしょう(^-^)