澤田みづえの音楽活動ブログ

ブラームス チェロソナタ第一番について

本日もYouTubeのご視聴、ありがとうございます!

…さて、今回は配信曲3曲目、

ブラームスチェロソナタ第一番

についてです。

《第一楽章》こちら、冒頭はとても暗い雰囲気で、簡単には抜け出せないような場所からなんとか這い出してくるようなメロディから始まりますが、比較的すぐに希望が見出せるような雰囲気になるなど、陰影がくっきりとしていることで、深刻になり過ぎずに聴くことが出来る曲です。

終始チェロとピアノで対話をするように構成されていて、私もこの曲で4人のチェリストの方と本番の舞台を踏んできましたが、私に投げかけてくるチェロの音色は人それぞれで、その演奏者の方の性格や個性が出る、そう言った意味でとても面白い曲だと思っています。

私も相手に同調するような音を投げかけたり、ボケに対するツッコミ(←チェリスト、誰もボケてないですが。(笑))みたいな雰囲気で強く意見を言ってみたり、その時の気分でアドリブ的な要素を入れたり…となんとも自由に音遊びさせていただいてます!

《第二楽章》他の二つの楽章は4拍子、こちらだけ3拍子で、個人的にはなんだか昔のメリーゴーラウンドに紛れ込んでしまったようなノスタルジックで不思議な感覚に襲われる曲です。

ゆっくりと回転する乗り物に足を踏み入れて、飲み込まれるがままに流されているが、最後周りを見渡してみるとそこには本当は何もなく、跡形もなく泡のように消えてしまっている…。そんな一場面の夢を見た後ような少しモヤっと記憶に残るような曲。

…皆さんはどんな感想を持たれるでしょうか?

《第三楽章》バッハのフーガの技法がとられているというこの楽章。当然ながら、バッハが大好物(笑)で取り組むことが苦では無い私にとっては一番最初に構成やイメージが掴めた、とっつきやすい曲でした!

しかしながら、オクターブで動く場所や、左手のパッセージが素早く動く必要があるので、他の2曲より確実に技巧的には難しく、当然ながらミスの許されない楽曲です。(←共演のチェリストに確実に迷惑がかかるため。(笑))その点でテクニカルな面を確実に固めていくこと、そしてチェリストの息づかいや構成観とすり合わせ、二人の息を合わせていくことが必要で、本番、それがうまくいったー!と感じた時に最高潮に上がる↑曲です!

…今回のチェリストのレオニード・ゴロホフ氏は、ロシア生まれで英国に帰化されていて、現在ドイツのハノーファー音楽大学教授。大変権威のある演奏家の一人です。

共演は初めてでしたが、前日の合わせ1時間のみで本番に挑みました。その少ない時間の中でお互いが目指してきた音楽をぶつけ合って、音で対話し、息を合わせていく…。

音楽と音楽がぶつかった瞬間に部屋に立ち込める空気…毎回この瞬間に練習してきたんだなと思うほどたまりません!(笑)

日本人の方との共演だともっと何度も合わせや練習を一緒に繰り返して本番を迎えられるし、そうするのですが、こういうチャレンジは良い意味でもっとスリルや緊張感があり、舞台を開けてみないと何が飛び出すか分からない!というようなワクワクしたパフォーマンスを聴いていただいている方々にお届けすることが出来ます。

やはり本番ではお互いにアドレナリンが出ているので、え!こんなことやっちゃう⁈みたいなことはしょっちゅうあったりして、それが刺激となって、自分ももっと大胆にいくとかも。(笑)ジャズのセッションみたいな感じですが、クラシック界でも大いにあります。

あまり合わせが出来ていないとドキドキし過ぎて心臓に悪いから、もっと合わせをしてから本番に臨みたい…というピアニストもいると多く聞きますが、私はこっちのスリル&アドレナリン(笑)バンバン!みたいな方がむしろ好きかも。。(笑)(とは言え、共演者の方が人に合わせることも配慮できる演奏者であること、また技術や音楽性ともに卓越していることが絶対条件にはなります。)

ソロも楽しいですが、私は断然室内楽の方がはじけられます!(笑)

是非そんな目線でも動画を楽しんでみて下さい♫