澤田みづえの音楽活動ブログ

革命のエチュード/ショパンについて

昨夜、またYouTubeで私の演奏動画が配信されました!

今まで配信してきた動画は王子ホールで行ったリサイタルの模様だったのですが、いよいよ今回は最後のアンコール曲。

私の音楽教室では、大人の生徒さんたちが『この曲を発表会でいずれ弾きたいんです』と話されることも多い人気曲です。

“革命のエチュード/ショパン”

革命のエチュードと呼ばれる練習曲は、ショパンが1833年に出版した『練習曲集』10-12の最後の曲です。この曲は当時ショパンの友人であったフランツ・リストに献呈されていて、この「革命」というニックネームはリストが付けたものとなっています。本人が付けた題名ではないのですね!

私がこの曲を最初に練習したのは中学生の時。音高受験の試験曲目の一つがショパンエチュードだったので、この曲は師匠が選んでくれました。

当時の私はとにかく指が速く良く動くね…と多くの音大教授陣に感心されることが多かった子供でしたが、それが行き過ぎることで(笑)機械的に弾きすぎて歌心がどっか行ってしまうことを指摘されることが多かったので、この曲の背景にある不安定な情勢や、激しい怒り、悲しみなどを織り交ぜながら、ショパン独特の美しいハーモニーなどをいかに表現するかということが最重要課題として突きつけられていました。

左手が一定の速いテンポで機械的に弾けることが絶対条件になりますが、そのテクニックが身に付いたらその後は左のパッセージを音楽性豊かなものに変えていく(たとえば凹凸をしっかりとつけてうねりながら上がって下がっていく波のような動きを強弱で表現したりする)、そして右のオクターヴを深い音色で響かせ、和声ごとに色を少しずつ変えて表現していくことが出来るように練習する…など、段階を追って深い演奏に仕上げていきます。

私はこの曲は海外の国際コンクールでよく弾きました。この曲は審査員受けもよく(笑)、退屈な面がなく終わるので今回の動画のようなアンコールや生徒たちの発表会の講師演奏などにも重宝します。

おそらく人前で10回以上、、いやそれよりももっと多いかもしれない回数を続けてきて、年齢を重ねると共にこの曲に対する思いや向き合い方が変わってきました。

この世の中には自分の力ではどうにも立ち向かえないものがある…そういう自分の無力さや無念さ、憤りなどを感じることも、この曲を弾き始めた中学生頃よりも当然ながら多くなってきました。

YouTubeの動画では、一つ前の演奏曲目がリストのロ短調ソナタで30分以上の大曲であったり、その前もバッハのフランス組曲→モーツァルトのソナタ→ブラームスのチェロソナタ→ボッケリーニのチェロソナタと弾いてきたので、やたらと身体や手が動く(笑)状況で。

その結果、いつものテンポの2割増しくらいの速さのイメージで弾いていて…録画を観てビックリするという(笑)。

アドレナリンってつくづく凄い。