こんばんは。
またまた、リサイタル録音の配信です。
リスト作曲/巡礼の年 第二年”イタリア”
ペトラルカのソネット第104番
ソネットとはイタリアで生まれた14行の定型詩で『小さな歌』を意味しており、ペトラルカ(フランチェスコ・ペトラルカは、イタリアの詩人・学者・人文主義者)とダンテ(ダンテ・アリギエーリは、イタリア都市国家フィレンツェ出身の詩人、哲学者、政治家。)によって完成されました。
リストはそのうち第47番、第104番、第123番を採り上げて作曲しています。
『ペトラルカのソネット 第104番』の詩は恋に落ちた喜びと苦しみの二面を歌うもので、ドラマティックであり、単独で演奏される機会も多い曲です。
…この曲を練習していた時、私は他にも仕上げなくてはならないリスト作曲の曲ばかり10曲くらいかかえていて、、この曲は本当に最後の最後まで曲調を掴みきれずに悩んでいました。
今だったら、朗々と語るように、そしてありのままの流れでいくのが正解だと自信を持てる解釈も、まだまだ若かりし頃の当時は日々うだうだと迷いながらなかなかこう弾く!としっかり決めきれずにいて。
ある時、そんないつまでも煮え切らず自分の音楽にいまいち自信を持てずにいた私を見かねた?師匠が、
『みづえ、同門であるEが、同じ曲を弾いている子がいるから、今度はその子と同じ時間にレッスンをしよう!』
と、突然提案。
それまでそんなことは皆無だったので、その提案の斬新さには心底驚きましたが…。
いざそのレッスンで、そのE君の始めの1段ほど弾いたのを聴いた時に、師匠が私に伝えたかったことがすぐに分かりました。
おお…そうか…。こういうことね。。
自分で流れを作るのではなく
流れに身を任せる…
これが私に決定的に欠けていたところだったと思いました。
いつも自分の演奏は自分で全てなんとか操作しなくてはならない。こういった先入観を全て解き放たないととてもこの曲には太刀打ち出来なかったのだと気付きました。
…そこから、師匠と同門Iくんのお陰で私の演奏はガラリと変わり。
そういう大切なことを言葉や直接指導で教えようとするのではなく、自ら感じて気付けるように仕向けてくれる指導法にも新鮮な驚きもありましたが、また自分の気付ける力を信じてくれている師匠に対して信頼感がさらに増したのでした。
この曲は国際コンクールやリサイタルなど多くの観客の前で何度も弾いてきました。今でも少し練習すればすぐに勘を取り戻すほど、かなり弾き込んだ曲です。
…かなり、余談ですが、こちらのサムネイル画像は私がハンガリーへ凱旋リサイタルに行った際に撮ったマーチャーシュ教会という教会の写真です。
皆さん、楽しんで聴いていただけたら大変嬉しいです♫