澤田みづえの音楽活動ブログ

発表会まであと3ヶ月、ということで…

今回もレッスンに関する真面目なお話。

注目される中、人前でパフォーマンスを一人きりでするという機会は、ピアノを習っている人の特権というか、試練というか。(笑)保護者の方の中には、たった一人で舞台で演奏する我が子を見て、頼もしいと感じるとともに、切ないような感情が湧く方もいるのではないでしょうか。

毎年、発表会の舞台に出ていく生徒たちを舞台袖で一人一人『がんばれ!』と送り出しますが、たった一人で出ていく小さな背中や不安そうな背中を見ると、私も心臓がギュッとなります。。😅

それと同時に、必ずこの経験が後々の人生において活きてくる場面があり、この局面を逃げずに乗り越えておいてよかったと思ってもらえる日がいつか来るのではないかとも思っています。

こんな大きな場面において絶対に必要となるのが自己肯定感なのですが、本番まで持っていくまでの日々の練習においての自己肯定感のさじ加減って本当に難しいとレッスンの中でいつも思うのです。

自己肯定感は味方につけるともちろん良いものであることは間違いないですし、私も当教室の生徒たちにはピアノを演奏することによって、自己肯定感を高めていってほしいと常日頃から願っています。

でも。自己肯定感を間違った方向に持ち過ぎていると(本人の実力以上のものを持っていると慢心してしまうこと)、ただの自己満足で終わってしまい、せっかく持っている能力の開発の妨げになることがあることも事実。もうあと一歩努力すべきところで、『ま、いっか♪弾けてる弾けてる!』と誤った判断で、自分を甘やかしてしまうからです。

しかし一方で、自分の能力をとにかく過小評価するのも考えもの。それだと肝心の人前での演奏の際に全く自信がなくなってしまい、せっかく持っている力やそれまでやってきた努力に値する結果が十分に出せません。でも、練習においてはこのくらいの自信のなさがあってこそ、長時間の練習に没頭できるというメリットもあるんですよね。自信のなさっていうのは、”自分の理想と実力との落差”という大事な気付きから来るものなので。

“人前で堂々と演奏をする”というゴールまで自分を連れていくということは、課題を終わりなく見つけ続けることを強いられているようだといつも感じています。要するにキリがない世界。

私は常に舞台に立つ際、ピアノに座り、最初の一音めを奏でる直前の瞬間まで『そこまで考える⁈』と同業者に言われるほど😂、自分のことを疑い、信じ、また疑う…の繰り返しです。往生際が悪いとも言えますし、割り切りが出来ないとも言う。(笑)

そんなわけで、勇気を振り絞り一音めを奏でるところは、みなさんと同じ気持ちだと思っています。

練習においての課題を見つけるためには、自分の今の実力を客観的に見て正当に評価する自己分析能力、その評価を基にこれからどう行動していくべきかを考える自己プロデュース能力など多くの要素を必要とします。

これらの要素を備えて、取り残しなく鍛錬を積むことが出来てきたか?ということは、多くのステージを経験してきているプロの演奏家にとって本番に臨む上では毎度当たり前のチェック項目。自分の今までやってきた結果というものが出るのがよりによって”簡単には修正出来ない本番”という過酷な世界なので😅…正直なところ、仕事じゃないとなかなかこんなことやりたくないよな…と思うのも事実。🤣

生徒の皆さんがまさに今頑張っている、自分の足りないことを指摘されるレッスン+苦手なことと向き合わなくてはいけない日々の練習+そして失敗してもたった一人で誰も助けてくれない孤独な本番は、確実に豊かな土壌を作り、やがて大きく花開くものと確信しています。こんなに大変なことをやり遂げているのですから、このくらいのご褒美、当たり前です!😌

“自分に足りないことを知り、それを克服して、人前でのパフォーマンスにベストを尽くす”

こんなに難しいことが、果たして幼い年齢の子供に出来るのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、頭が柔らかく様々な経験をスポンジのように吸収できる子供の時期こそ、日々のレッスンでの訴えかけや練習方法の伝授により、そのような意識を植え付けていくことは出来るということは多くの生徒の指導経験から感じています。

周りが見て勝手にその子の限界を決めない限り、驚くほど多くの能力を身につけることができるのが子供の時期。実際に、小さな子の初出演の舞台でも、覚悟を決めて舞台に出ていく生徒の逞しさや輝きは筆舌に尽くし難いものがあります🥰

今年も生徒たち一人一人が舞台で最高に輝けるよう、全力でフォローしていきます!