興味があるけれどピアノに触れたことがなくてなんとなくピアノを始める自信がない方、以前やっていた経験があるけれど一度やめてしまってブランクがある方、ずっとピアノをやってきたが練習が楽しくなくてピアノを弾くことやレッスン自体まで楽しくないと思いこんでしまっているお子さん・・・私は今まで様々な方の指導をしてきました。
以前出会った大人の生徒さんで初対面の時に”私はもともとピアノの音が好きでピアノを始めたのに、最近全然楽しくないので、ピアノをそろそろやめようかと思っていたんです”と浮かない顔で私に打ち明けてくださった女性には、何度かレッスンをする中で肩の脱力に問題がある事を指摘する機会がありました。
肩に力が入ってしまって異様なほど疲れてしまうような苦しい弾き方を曲のレベルが上がっていくとともにするようになっていた彼女には、立って体重を鍵盤にかけて演奏する練習方法や、電気を真っ暗にして自分の体の神経に集中して弾くような変わった練習方法などでどうにか肩の力が抜けるよう様々な角度からアプローチしたのですが、その結果彼女はそれから一ヶ月ほどたったところで、”少し肩の力を抜くコツを覚えただけのことで、また以前にも増して楽しく弾けるようになりました”と笑顔でレッスンに通って来てくれるようになりました。
もちろん、この例にあるように短期間で直る問題ばかりではありませんが、ほんの少しのきっかけで音楽を好きにも嫌いにもなるんだと感じさせてくれたその経験は、常に生徒のほんの少しのサインも見逃さないように指導しなくてはならない講師の責任のようなものを感じさせてくれました。
先生の数だけ指導方法はあると思いますが、私は基礎に忠実に、生徒自身が自分の弾きたい曲を見つけられるその日まで、様々なテクニックを持続するためのお手伝いをし、又、生徒がいつしか自分を表現する手段の一つとして生涯ピアノをそばに残しておいてくれることを願って指導しています。
将来も自分の力で弾きたい曲に取り組めるように、すぐに答えを教えてしまうようなレッスンではなく、たとえ少し時間はかかっても解決の糸口を一緒に見つけ、試していくようなきめ細かく丁寧なレッスンを目指しています。
練習嫌いな子供たちにも”練習は嫌いだけど、先生とのレッスンは悪くないな・・・”と思われるような明るく楽しいレッスンをしていければと思っています。
澤田みづえ