当教室でいつも熱心に練習してきてくれる生徒さんたち。練習の重要性に気づいてくれているなぁと日頃から嬉しく思っています。
しかし一方で、『うちの子は練習嫌いで困っています…』と保護者の方からご相談を受けたことのある生徒さんも一定数はいらっしゃいます。
ご相談いただいた時々で、保護者の方と協力して作戦を立てたり、毎日練習をしたら書き込めるような表を書いたりもしますが、やはり嫌々練習に向かうことはあっても、自らピアノに向かうことというのは難しく、そのことが長年そういった生徒さんの保護者の方にとっての悩みの種になるようです。
しかしかつてはそのようなご相談をいただいた生徒さんも、時が経ち、最近のレッスンでの演奏を聴いて、きちんと練習に向かえるようになっているなぁと感じたことがあり、先日のレッスンで
『最近よく練習しているよね?なんでこんなに練習してこれるようになったの?』
と聞いてみたところ、
『いつもはお母さん忙しくしているんだけど、春休みは時間があったから、その分練習をそばで聞いてくれた…!だからやる気になった!』
と、とても嬉しそうに話してくれました。
( ´ ▽ ` )
『これからもお母さんにそばで聞いてもらえるなら、練習は頑張れそう!』とも言っていました。
ピアノの練習は孤独な作業です。
そして、大人だって面倒と感じることは多々あります。
そんな練習に子供が一人で向かうとなるとやはり、ハードルは高い。
その結果、
①間違っていると分かっていても弾き直さずにスルーしてしまう
②自信のあるところしか弾かない
③新しいところにはチャレンジせずに終わる
…など、そんなふうに毎日一向に進化しないまま、中身のない練習を続け、次のレッスンの日を迎えてしまうことが多いと思います。
しかしそんな練習時に親御さんが近くで聞いてくれて、二人三脚感が一気に出てくると、『間違って弾こうが、正しく弾こうが、どうせ誰も聴いてないから同じでしょ』と今までは適当にやってきた練習も、俄然精神的な張りを取り戻し、お母さんに少しでも褒めてもらえるように素敵に弾きたい!となり、目つきが変わります!
つまり本気になります。
間違いを指摘したり、細かい音楽的な指導はもちろん講師の役割だと思います。そこは任せていただいて大丈夫です。
でも、そこまで行くまでに通らなくてはならない道(おうちでの毎日の練習の習慣づけ)があり、その道を通らせるためには保護者の方のご協力が必要であるということを保護者の方たちにはぜひ早くに気付いて欲しいと思います。
レッスンに来ているだけで成立する習い事と違い、ピアノのような毎日の鍛錬を欠かさずやれた時にこそ上達がのぞめる習い事が成功するか否かは、各ご家庭で練習が当たり前のこととして成立させられるかどうかにかかっています。
初心者の方の体験レッスンの際、『うちにはおもちゃの小さいピアノしかまだないのですが、入会する時に本物のピアノを用意しなくてはならないでしょうか?』というご質問を受けることがよくあります。
楽器の準備に思いを馳せるのももちろん必要不可欠なことではありますが、それ以前の問題として、たとえば今家にある玩具のピアノを使ってでも良いから、毎日同じような練習をおうちでさせられるような環境が整っているのか、またそれを習慣づける覚悟があるのかどうかを確かめてから始めることの方が大切な気がしています。
まずはご家庭で何ができるのかということを確認しないと、どのような講師についてたとしても、レッスンの効果を十分に発揮することは難しいです。
それに、講師も感情のある人間ですので(笑)、生徒さんがきちんと練習してきてくれた時には最初の一音を出しただけでも分かり、その後の指導の熱の入り方が違うと思います。(笑)
今は亡き音大の師匠が昔、
『教える側も人間。いつも頑張って練習している人には心から応援したいと思うし、どんなことをしてもうまくなって欲しいと指導するもの。人を本気にさせる練習を死に物狂いでしてこそ、周りを変えるし、道は開かれていくものよ!』
というようなことを、仰っていたことがありました。実に深い。
“本気で毎日取り組む練習は、ピアノを習っている自分自身の気持ちも、講師の気持ちも変える。”
今はたとえ年齢が幼くてその意味が分からない生徒さんも、保護者の方が練習の習慣づけをするためのちょっとした寄り添いの努力をし続ければ、数年後に必ず習っている本人がそのことに気付ける日は来ます。
今、まさにこのブログを読んで下さっている方でお子さんが練習嫌いだなと感じられて悩まれている方。
まずは親御さんが
おうちで練習しているお子さんから心を離さず、時々目配りしてあげていることをお子さんに分かりやすく(笑)アピール
してみてください。
そして、
『私はあなたが練習している時は家事しながらでもいつでも聴いているよ。この前よりもここがよく弾けるようになっているね!』
など、ちょっとした声かけも、これまで以上に積極的にしてあげてみてください!
私の長年の指導経験から、周りが変わって、本人が変わらなかった例はありません。