澤田みづえの音楽活動ブログ

週末

週末ですね。皆様いかがお過ごしでしょうか。

当教室では、昨日は朝から夜までレッスンが詰まっておりました。

そこで、ふと感じたことがあります。

それは、当教室の保護者の方は、レッスン同席率がかなり高いということ。

これは私が保護者の方にお願いしているのではなく、自然とそのようなスタイルに落ち着いている方が多い印象です。

その中にはもうお子さんが中学生で大きい方もいるのですが、いつもレッスンには可能な限り、同席されているお母様たちが多いです。

レッスンに同席されているお母様たちは、大体私が言うアドバイスをコピー譜やノートなどに熱心にメモを取られたりしています。ご自身のお子様がどのようなことを今課題としているのかを一緒に勉強する姿勢で、レッスンに臨まれている方が多く見受けられます

そのような緊張感と共に、時に笑いも起きるようなリラックスした空気とが共存する心地よいレッスンの雰囲気を共に作っていただいているのは、保護者の方々のおかげだと思っています。

このような良い保護者の方たちに恵まれて、講師として心からありがたいと感じています( ´`)

さてさて、”保護者の方のレッスン同席”について考えた時に、ふとこんなことを思い出しました。

以前働いていた大手の音楽教室において。

同僚の先生がとある生徒さんのレッスンで、たくさん見てあげたい曲があるものの時間が足りなくなることが多いので、良かれと思ってサービスで時間延長をしていたということがありました。

その先生は次の生徒さんのレッスンまでの休み時間を潰してまで熱心に教えていたということでその話を聞いた時、本当に優しい良い先生だなぁという印象を持ちました。

しかしその先生が、ある日突然、教室の本部スタッフから言い渡されたのが、

『先生のその生徒さん。保護者の方から連絡があり、他の先生のところに移動を希望しています』

…。

まだまだその生徒さん自身が発展途上ということもあるし、何よりも生徒さん自身はとても先生を信頼して懐いていたので、これからしばらくは自分のところで指導するつもりでいたその先生は、大変驚かれたそうです。

大手の教室ではあるあるなのですが…タイミングや保護者の方の性格などによっては、そもそも親御さんと講師が一度もお会いしない場合も多くあります。

その先生の生徒さんも当時小学校高学年だったということもあり、保護者の方が一度もレッスンに来ることもなく、挨拶も交わしたことがない間柄だったそうです。

本部は驚くその先生に、さらにこう告げたそうです。

『”あの先生は時間にルーズだから、替えて欲しいんです。”と生徒さんのお母様がおっしゃっていました。』

??…(´⊙ω⊙`)…?? え。どういうこと??

通常お給料には反映されないのに、サービスレッスンを繰り返ししていただいていたら、まず最初は

『先生、いつも熱心にご指導いただきありがとうございます』

なのでは…???

…さらに、漫画みたいなおかしな話なのですが(笑)、

時間にルーズだと批判された保護者のお子さんである生徒さん自身がとても時間にルーズだったそうで(笑)、それはもう、よくレッスンに遅刻していたらしいのです。

そして、その遅刻したロス分をその先生は延長という形で、よく補ってあげていたということでした。そしてそれを、レッスンに来ることのない親御さんにお伝え出来る機会がなかったのだそうです。。

その保護者の方は、先生と呼ばれる方に教えを乞うということの姿勢や感謝が、そもそも欠如しているなと感じます。

そして、実際にレッスンに数回でも訪れていたらその先生がいかに生徒思いの良い先生であったのかが、理解できたのではとも思います。

ここでその先生と生徒さんの関係が絶たれてしまったことを、他人事ながら、私はとても残念に感じたのを覚えています。

大体このような周りが唖然とする決断をあっさりとしてしまう保護者の方の特徴は、普段はレッスンにも来たことがないし(忙しいこともあるのでしょうが)、講師にコンタクトを取って様子を知ろうともしない。子供のすることに、そもそも無関心だと感じざるを得ない方が多いです。

先生と生徒の関係性はレッスンするたびに少しずつでも築かれていき、ご自身のお子さんはそこで確実に成長していますしかし、そのようなレッスンの価値は、外側から遠巻きに見ているだけではけして分かりません。

そのような見えないところの価値に目を向けずに、お金や時間など目に見えるところだけで自分の物差しで判断し、ある日突然自分の考えだけで大切なものをお子さんから取り上げてしまう

講師も人の家庭のことまでは口出しできないだけに、こういった出来事に遭遇すると大変歯がゆい…。

先生を心から信頼しているお子さんの場合、レッスンに行くことは演奏の技術の習得のためだけではないこともあります。先生と心を通わせることで、時には自分の感情や表現力の引き出しを増やしていたり、自己肯定感を高めていることも多いです。

私はピアノ講師として長年レッスンをしてきました。

実際に多くのレッスンを通して、生徒さん自身が講師である私を心から頼ってくれていることはよく感じることがあります。

また保護者の方に『先生のような存在があることは、子供にとって何ごとにも代え難い財産です』と、思いがけず感謝されたことも多いです。

ありがたいことに現在在籍されている生徒さんたちの保護者の方々には、私の考え方や指導に日頃より深いご理解やご賛同をいただき、講師・保護者の方・生徒さん自身が1つのチームのようになり、連携してレッスンをさせていただいています。

世の中の他教室には、導入期のような小さい年齢であっても、保護者の方はレッスン室には入らないで下さいと言われる場合もよくあると聞きます。

確かに小さい子の場合、親が同席することで甘えてしまって、レッスンがうまく進まなかったりする弊害がある場合もあります。

でも当教室では保護者の方にもレッスンの中身を見て納得して通っていただきたいので、親御さん自身が望まれる限り、生徒さんの年齢関係なく、いつでもレッスンは見ていただいて良いという方針です。(中にはやはり保護者の方がレッスン室に入るとお子さんが甘えてしまうので、ご相談の上、あえて保護者の方にはレッスンの間は出ていていただく形をとることもまれにあります。その代わり、おうちでの復習などには積極的に関わっていただけるよう、個別で連携している例もあります)

この世の中、大切なものは必ずしも見えているものだけではないはず

(かの星の王子さまも言っていますね。^^)

自分が見えているものだけを判断基準としてしまわず、中身に積極的に目を向けていただけるよう、これからも質の高いレッスンと保護者の方たちとも綿密なコミュニケーションを取ることを目指して、私自身も日々精進していく所存です